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リターン<本編>
第壱話 使徒、襲来 Dパート


 シンジ・ミサト・リツコの三人は長いエレベーターを下降していた。

「使徒は?」

 ミサトの質問に、ちょうど、アナウンスが流れる。

「目標接近。第3次防衛線まであと600秒」

「総員、第1種戦闘配置」

「―――らしいわよ」

「こりゃ、やばいわね」

「近道するわよ」

 エレベーターから降りると、ホバークラフトに乗り換える。コードが所狭しと這いまわる中をホバークラフトはスムーズに走って行く。

「で、初号機はどうなの?」

「起動確率は0.000000001パーセント。09(オーナイン)システムとはよく云ったものね」

「それって、動かないってコト?」

「失礼ね。ゼロではなくってよ」

「いずれにせよ、あとは彼次第ってことね」

「データ不足で、返答しかねますわ」

「奇跡を呼ぶ少年、であってほしいわね」

 途中で水路に入ると行き止まりまで行ってホバークラフトを降り、前方のドアを開ける。

 薄暗がりの中進んでいると、明かりが灯った。シンジの眼前にはエヴァ初号機の顔があった。

「―――人の創り出した究極の汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン。その初号機。建造は極秘裏に行われた、我々人類最後の切り札よ」

 立ち尽くしたままのシンジを見て、リツコが説明した。

「ひさしぶりだな」

 そこへゲンドウがシンジたちの頭上にある管制室から声をかけた。

「・・・」

 シンジはゲンドウを見上げたまま何も言わなかった。

「・・・出撃」

 ゲンドウが命令を下した。

「出撃? 零号機はダメでしょう。―――まさか、初号機を使うつもりなの?」

「そうよ。他に道はないわ」

「無茶な! 第一、レイはICUでしょう? ―――パイロットがいないわよ」

 途中、ミサトはチラッとシンジを見た。

「さっき、届いたわ」

「・・・・・マジなの?」

 リツコはミサトの言葉に、シンジの顔を覗き込むと言った。

「―――あなたが乗るのよ」

「・・・はい」

 シンジが答えた。

「ちょっと、待ってよ! レイでさえ、シンクロするのに7ヶ月もかかったんでしょ。今日来たばかりのこの子には、とても無理よ!―――って、乗るって言ったの!?」

「はい」

 ミサトは意外そうな顔をシンジに向けたが、すぐに思い直して言った。

「そう、それなら話は早いわ。リツコが操縦方法を教えてくれるから」

「・・・必要ありません」

「でも」

「知っていますから」

 と、言い置いて、更衣室の方へと歩いて行った。ミサトとリツコは顔を見合わせると、あわててシンジを追い掛けた。

 ゲンドウはそのやりとりをじっと見下ろしていたが、三人が行ってしまうと、発令所へ戻って行った。





「―――ちょっと、シンジくん。そっちは女子更衣室よ」

 シンジはミサトに腕を掴まれ、更衣室への入室を止められた。

「まだあなたのプラグスーツは出来ていないの。今日はこれを付ければいいから」

 リツコがシンジにインターフェイスヘッドセットを渡す。シンジはそれを受け取ると、すばやく頭に装着した。

「彼、知ってるのね。―――どういうことかしら? 司令が何か教えてたの?」

 ミサトは小声でリツコに質問する。

「さあ。今は何とも言えないわね」

 シンジが真っ直ぐエントリープラグの搭乗位置へ向かったのを確認して、リツコは答えた。





「エントリープラグ、注水」

 足元から満たされていくLCLにも驚いた様子は無く、シンジはLCLに沈む。

「第2次コンタクト、準備よし」

「主電源接続」

「A10神経接続、異常なし」

「思考形態は日本語を基礎原則として、フィックス」

「初期コンタクト、全て異常なし」

「双方向回線、開きます」

「シンクロ率、21.2%」

 告げられたシンクロ率はレイとほとんど変わらないが、今、初号機を起動させることの出来るパイロットはシンジ一人である。

 いける・・・か?

 ミサトは訓練経験もないパイロットに多少の不安を覚えつつも、号令を出す。

「発進準備!」

 エヴァ初号機がケージから射出口へと運ばれるのを確認し、ミサトは司令席にいるゲンドウに念を押した。

「かまいませんね?」

「もちろんだ。―――使徒を倒さぬ限り、我々に未来はない」

「進路クリア、オールグリーン」

「発進!!」

 ミサトの号令によってエヴァ初号機が固定台ごと発射された。

 ミサトは発令所のスクリーンに映し出されたエヴァ初号機を見て、呟いた。

「死なないでよ・・・シンジくん」


 


後書き
 Dパートです。ようやく、第壱話が終わりました。よおし、やっとシンジとレイが出会うぞ!!・・・生身で。
00.1.23 Version 1.0


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