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僕がヒロイン?
第弐話 いきなりバレちゃった その2


 職員室は遠かった。

 いや単に僕が校内でまたも迷ってしまったからなんだけど。折角カヲルくんに道を教えてもらったのに。ごめん、カヲルくん。

 普通程度の方向感覚くらいある―――あるんだよ。あんな地図でさえなければ―――僕が迷ってしまうほど広いこの学校は、私立ネルフ学園という。面接だけで編入試験も特になく、自由な校風とやらがウリなんだそうだ。ま、別に僕は他の学校はどこでも同じだろうからいいけど。友達がいるわけでもないし。あ、カヲルくんが同じ2年だって言ってたっけ。落ち着いた雰囲気を持ってるから、ちょっと年上にも見えたけどね。

 誰かに聞こうとも思ったけれど、誰にも出会わない。辺りはすごく静かだった。ドアの上には「テニス部」とあった。その隣は「陸上部」。・・・ここって、部室ばっかの棟? う〜ん、やっぱりこんなところになんか職員室はないだろうし。

 とすると・・遅刻? 今まで休んだことはあったけど、遅刻はなかったのに・・・。内申書が・・・。

 僕はぶつぶつ独り言をいいながら―――端から見たら不気味だったろうけど、幸いにも別に他の人はいない―――とりあえず来た道を引き返すことにした。

 同じような景色が続く廊下を、とてとてと歩いていると、突如、寒気がした。別に風邪をひいてるとか、悪い噂をされているとかじゃなくて・・・母さんに謝られてから―――3歳の時からずっと身に覚えのある悪寒だ。

 やばい! 起きちゃうじゃないか!

 平和な―――絶対アレになるくらいなら大遅刻の方がなんぼもマシ―――今のひとときを潰されるわけには行かない。

 とにもかくにも寒気のしない方向へと逃れることにする。

 ・・・2時間遅れでなんとか職員室に辿り着くまでに、僕にとってこの学校がとんでもないところであることが判明した。

 こんな学校(とこ)じゃ、すぐバレちゃうよ!! どうしよう・・・(泣)

 僕がちょっと気分はブルーで職員室の前で突っ立っていると、

「どうしたんだ、そんな所で。もう3時間目が始まってるぞ」

 と、男性の声がした。もちろん僕は振り返る。不精髭を生やしてちょっと長めの髪を後ろで縛ってある結構長身の人だった。僕の背が低いってのもあるかもしれないけどさ。でもいいだろ? こっちは成長期なんだから。

「おや、今日転校して来る予定の碇くんじゃないか。・・・遅かったね」

「え・・・と?」

「ああ、君の担任になる加持リョウジだよ。クラスは2−A」

「あ、碇シンジです。よ、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしく。―――ちょうど次の授業はその2−Aなんだ。クラスに紹介するから着いて来てくれるかな?」

「は、はい」

 僕は加持先生の言葉に頷くと、後に着いて行った。

 ・・・流石にこれ以上迷いたくはない。でも、ちょっとこの学校は・・・なんだよなぁ。なるべく近寄らないようにしなきゃ。

 と思いつつもソレがどこだったのか、実は全然覚えちゃいなかった。




後書き・・・という名の言い訳と補足
 さて、恐ろしいことに場面展開は各話でやろうというこの試み(いつの間にそんな試みを?!)、単に話数が増えるだけのような気もしないが・・・気にしない。そのかわり次の話が早いかも知れない。
 でも長いのって書けないんだな、私。
00.2.19 Version 1.0


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