『救い主の誕生』

押水集会クリスマス礼拝より〜「永遠の契約」

<2002年12月22日 クリスマス礼拝>
「イザヤ書」9章1節〜6節 「ルカによる福音書」2:8-14



・“クリスマス”と言いますと、街中はイルミネーションで飾られて、デパートや商店街では、クリスマスツリーが置かれ、プレゼント用のラッピングをした素敵な品物が店先に並びます。

・しかし、本当のクリスマスはキリスト者にとっては、そのような世間一般の“クリスマス”とは違います。世界で最初のクリスマス、それは羊飼いたちに知らされた喜びの訪れと共に、馬小屋の飼い葉桶の中に眠る御子イエス・キリストの姿です。

・1996年に出版された、ジェリー・サラモンというアメリカの作家が書いた本で、「クリスマスツリー」という美しい、心温まるお話があります。ニューヨークのロックフェラーセンターには、毎年大きなクリスマスツリーが飾られ、見事な電飾に彩られます。その点灯式の様子は、TVでも放映され、一大イベントとして、大にぎわいになるそうです。

・この物語は、そこで飾られるクリスマスツリーを毎年捜し回る、庭師のある男の人と、クリスマスツリーにふさわしい木を持っているある修道女とのクリスマスツリーをめぐっての交流のお話しです。

・修道女のシスターアンソニーは、子供の頃、お父さんを亡くして、修道院に引き取られました。そこで出会ったのが、この小さな一本の木でした。少女は心を閉ざして、毎日ひとりぼっちでした。少女のそばにいつもいたのが、ツリーでした。やがてそんな小さなツリーは、見事な木に育ちました。そんな木に目を留めたのが、庭師の男でした。一本の木を通して、庭師とシスターは、友情が生まれていったのです。ニューヨークという都会で働く男と、修道院から一歩も出ることのないシスター・・・。

・シスターはある日、そのツリーを手放すことを決意し、ロックフェラーセンターでの点灯式の日、亡くなったお父さんの言葉を思い出しました。「あのいちばんてっぺんにある星を見てごらん。あれは、みんなが、この街の冷たさしか感じられなくて、つらくなったときでも、美しいものがあることを思い出させてくれるために、ああしてあそこにいるんだ。」 ツリーもそんな存在となったのです。立派で華やかで美しいクリスマスツリーは、寂しくてつらくなった人々を明るく照らしてくれる、みんなのツリーになったのです。

・ニューヨークにおいては昨年、恐ろしいテロ事件が起り、闇の中に包まれている中、一体どのようなクリスマスを迎えていることでしょうか?きっと多くの人々に希望の光を明るく照らし、みんなのツリーとなっていることでしょう。ロックフェラーセンターのクリスマスツリーのように、豪華できらきらとはしていないけれども、貧しい人、そして暗闇の中に在る民のうえに、一筋の希望の光として、この世に生まれたのが、救い主としての主イエス・キリストなのです。「闇の中を歩む民は、大いなる光を見 死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。」

・ 闇の中の光としての救い主の誕生です。救いは今日、私達のもとへやって来たのです。世界ではじめのクリスマスに、暗く貧しい羊飼いたちに告げられた天使の言葉は、現代の私達に向けられた言葉でもあるのです。闇の中を歩む、孤独な民のために、いつも共にいて下さる、インマヌエルの主として、世に送られた一人子イエス・キリストの誕生を今に告げるのです。




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