『最も小さい者』

<2003年3月16日 主日礼拝>
「ルカによる福音書」9章43b節〜48節




  • 「一番偉いもの」というのは誰か、弟子達は競い争っていました。論議にまでなっていたというのですから、本気で争っていたということが分かります。そして彼らには、その言葉に対する逆の言葉が主イエスによって示されるのです。子供のようなもの、「最も小さいもの」です。

  • 「あなたがた皆の中で最も小さい者こそ、最も偉い者である。」
    何故そのように言われたのでしょうか?「最も小さいもの」こそ「最も偉いもの」であるこのように言われたのです。この「最も小さい者」という表現に、近いうちに愚か者と同じように扱われ、蔑まれて十字架につけられる主イエス御自身の姿を投影しています。

  • さかもとふぁみさん、という人の書いた絵本で、ルーマニアの物語として、本当にあったお話をもとにしてつくられた物語があります。「小さなリース」という物語です。英語のタイトルは「Wreath of Love」です。リースは、クリスマスなどにもかざったりしますが、もとは古代ギリシャで生まれたステファノス(冠)と呼ばれていたものです。オリンピックの勝利者たちに贈られた、オリーブや月桂樹の冠です。

  • その意味とは、「終りのない環であることから、終りのない愛」を示す形として、世界中の人々に愛され、現代に受け継がれています。このお話は、リースを通して愛を示した小さな女の子の物語です。ここで少し、紹介をしたいと思います。

  • ある国に、とても恐ろしい将軍がいました。名前を「カロル」といいました。そのカロル将軍はいつも「俺は世界で一番偉いんだ。」と言っていました。しかしカロル将軍は本当に偉い人とはいえない様な人だったのです。罪のない人を、牢屋になげこんだりしていたのです。

  • ある日、将軍が家に帰ると、小さな花のリースが門の前においてありました。将軍はそれを見つけて、足で踏ん付けたりしたのです。ところが、来る日も来る日も、小さなリースが家の門の前に置いてあるのです。その贈り主はなんと、小さな女の子でした。その女の子は、将軍によって、両親がろうやに入れられ、殺されてしまったのだそうです。しかし女の子は、お父さんとお母さんの教え「あなたの敵を愛しなさい。」ということを守ってカロル将軍にやさしくしてあげようと思い、お花のリースを贈っていたというのです。

  • このことを知った将軍は、大きな声をあげて、泣き叫びました。自分がなんて悪い人間だったのか、と罪を悔い改め、ごめんなさい、と何度も何度も言いました。そして優しい人間になろう、とその日から決心し、その国は平和になりました。

  • 「小さなリース」の小さな女の子は、最も小さいものである、そのように思います。そのような小さな者こそ、このように、「自分が一番偉いものである」と高慢になっている者に対して、愛を注ぐ、本当の意味での最も偉い者であるのです。私達もこの「最も小さいもの」としてこの世に来られた主イエスと出会い、最も小さい私達の信仰を、最も大きくして下さる神様の恵みを感謝しつつ、共に祈りたいと思います。


さかもと ふぁみ著『ちいさなリース―Wreath of love』

さかもと ふぁみ著『ちいさなリース―Wreath of love』







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