企画特集 |
[20世紀の記憶]
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開戦から59年 歴史を振り返る2つの集会
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「証言・南京大虐殺」では、目撃者が証言し、記録フィルムが上映された=金沢市香林坊の県教育会館で |
太平洋戦争の開戦から59年となる8日、日本の中国侵略の歴史を振り返る2つの集会が金沢市内で開かれた。県平和運動センターなどが主催した集会では、1937年の南京大虐殺を当時の記録フィルムと目撃者の証言でたどった。
石川憲法会議などが主催する集会では、今年の夏、中国に残る侵略のつめ跡を訪ねた弁護士が講演した。今年、石川護国神社(金沢市)に「大東亜聖戦大碑」が建ち、歴史教科書の見直しを求める県議らの活動も始まった。集会の参加者は、「加害の歴史を直視すべきだ」と訴えた。
南京大虐殺 映像と証言でたどる
金沢市香林坊1丁目の県教育会館で開かれた「証言・南京大虐殺―幸存者とビデオによる証言集会」(県平和運動センターなど主催)には、170人が集まった。
南京大虐殺の際、米国人牧師ジョン・マギー氏が撮影した記録フィルムを基に制作された「マギー牧師の証言」を見た後、南京市在住の彭善栄さん(83)が、実際に目撃した旧日本軍の婦女暴行などについて証言した。
マギー牧師は、日本軍の監視の目をかいくぐって占領下の南京を撮影し、戦後の東京裁判で南京大虐殺について証言した。映像には南京市内の病院の様子が現れ、銃剣で刺されたり、暴行されたりした女性の姿が映し出された。
続いて現在の映像として、フィルムに映っていた女性が登場し、「日本人とは仲良くしたい」などと現在の心境を語った。また、別の女性は「今でも曇ると傷が痛むんです」と話した。
会場で証言した彭さんは、南京で日本軍に強制的に労働させられた体験を持つ。当時、欧米の残留者などが難民のために設定した「国際安全区」と自宅との間を行き来する中で、多くの女性が日本軍兵士によって乱暴されるのを見たと話した。彭さん自身も脚を刺されたり、殴られたりしたほか、家族も暴行の被害にあったという。
集会の冒頭、細井満夫・県平和運動センター代表は、「大東亜聖戦大碑」や教科書の見直しを求める動きを批判し、「歴史の事実を見つめ直し、不戦の誓いを新たにしよう」と述べた。
当時18歳の女性「全身に36カ所の傷…」
弁護士や教員らでつくる石川憲法会議などの「12・8平和を守るつどい」は、金沢市下本多町の市観光会館で午後7時20分から開かれた。約50人が参加。九月に自由法曹団の一員として日本侵略の跡をたどるため訪中した金沢市の菅野昭夫弁護士が報告し、「日本政府は明確に謝罪すべきだ」と訴えた。
菅野弁護士は南京大虐殺の生存者である女性の証言を紹介。18歳だったこの女性は日本兵に暴行を受けた。再び日本兵が迫ったため抵抗すると、全身36カ所を切りつけられた。死亡したと思った父が墓に埋める寸前に意識を取り戻したという。
さらに菅野弁護士は、北京であったシンポジウムで、中国の若い弁護士が「日本はあらゆる侵略をしておきながら、その被害の何十分の一の被害である広島・長崎を、ことさら強調している」と意見を述べたことを紹介した。
菅野弁護士は「この弁護士の考えは正しくないが、それくらい中国の民の対日感情は厳しい」と語った。
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(12/9)
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