教会音楽と教会暦

〜讃美歌についてのミニコラム(1)〜






<讃美歌の歴史>

■讃美歌とは、礼拝においてともに神様を讃美するための歌です。讃美するため、教会では讃美歌1編と2編、ともよ歌おう、そして最近では「讃美歌21」を礼拝で用いる教会も増えてきています。

■讃美歌の歴史は古く明治時代に遡ります。日本における讃美歌は、明治の初期に初めて現れました。1903年に、それまでは各教派で別々に編集され、出版されていた讃美歌が、総合集成されて共通讃美歌となりました。さらに1931年、増補・修正されて再販されました。

■いわゆる「讃美歌第1編」にあたる讃美歌の作成に着手したのが、そののちの1949年から検討されて、1951年から日本讃美歌委員会の改定委員会によって、でした。そして1954年讃美歌第1編が出版、刊行されるに至ったのです。

<讃美歌に納められている楽曲>

■讃美歌1編には主に曲のリズムをもともとのイギリスやドイツの聖歌や讃美歌のものから改良され、歌いやすい拍子になっています。しかし、なぜか特徴的な部分があるように思うのは、全体的な曲の調子が、低いからです。讃美歌委員会は、日本の会衆の歌う能力に合わせて、それに適した曲の調子を考えた末に、このように低い調子の曲が多いのです。

■適当に曲の調子を上げて歌ってもかまわないという注意書きが最初に記されています。しかも「それぞれの時代と風土に合わせて、讃美歌の調子を会衆の実状に合わせて決めるのが妥当」、と記されているあたりにも「讃美歌21」が編纂されたビジョンと基本スタンスが表れているように思われます。

<ドイツ・コラールとの比較>

■“ドイツ・コラール”とは、原型が全体的に旋律のみの讃美歌です。讃美歌1編の4番5番539番には、ドイツコラールの特徴のある旋律のみがその原形であったそうです。

■しかしオルガン奏楽者がそれに自由な和声そして、即興で曲をつけるなどの困難な点から、日本讃美歌に編集するためには、和声学上の誤りが生じたり、さまざまな改変が必要とされるようです。4番、5番、539番が同じ旋律を、三つの和声で作られているのはそのためです。

<教会暦に併せて>

■教会暦に沿って讃美歌を編集されているのが「讃美歌21」の特徴のひとつです。「讃美歌21」は教会暦と聖書の箇所に沿った曲を選べるようになっていて、最初のページの索引に、教会暦にあった讃美歌の番号が記されています。クリスマスならこの讃美歌、復活祭には何番という具合です。個々の曲については、「讃美歌略解」という本に、讃美歌についての解説がとても詳しく記されています。讃美歌の曲についての歴史や、曲の作られた背景などが知ることができ、讃美する気持ちとその曲への気持ちが、とても深められます。好きな曲を一曲決め、愛唱讃美歌として、それについて詳しく知っておくというのも、良いものです。

参考資料:「讃美歌1編」、「讃美歌21」
共に、讃美歌委員会編 日本基督教団出版局1997年発行




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