教会音楽と教会暦


〜パイプオルガンについてのミニコラム(1) 〜





<「楽器の王様」>

■「楽器の王様」と称されるパイプオルガン。オルガンはピアノやチェンバロなどの鍵盤楽器のなかでも唯一、音を出すのに弦を使っていません。何百、何千本もの「リード管」と「フルー管」と呼ばれる「リコーダー(笛)」のような管に振動や共鳴させて空気を送り込み、音を出します。さまざまな形の管が集まってオルガンとなります。

<「パイプオルガンの歴史」>

■紀元前3世紀のエジプトに生まれた“ヒドラリウス”(水力オルガン)というのがあり、それがビザンチン帝国に到ってふいごを使う風圧オルガンへと発達しました。最初のリードオルガンです。

■古代ローマでは円形闘技場で大きな音をとどろかせて競技を盛り上げたそうです。更にオルガンは中世ヨーロッパの王様の権力を象徴する楽器だったそうです。その後10世紀頃から次第にカトリックの典礼に用いられ、ヨーロッパの教会を、信仰と賛美の響きで満たしました。現在のオルガンに近い形になったのは15世紀の半ば頃だといいます。

<「パイプオルガンのパイプ数」>

■パイプオルガンのパイプ数は、東京サントリーホールにあるもので5898本(オーストリア・リーガー社製・1986年)ストップ数74です。また、石川県立音楽堂のパイプオルガン(ドイツ・シュッケ社製・2001年)は5143本のパイプに69のストップで構成されています。その姿は王様と称されるにふさわしい、立派な建造物のような外観です。

■参考までに、私たちのプロテスタント教会のパイプオルガンの例では、日本基督教団 金沢教会(フランス・ケルン社製・2003年)のものはパイプ数1288で、ストップ数は20です。

□参考:オルガンの美術館 http://pipeorgan.jp/museum/index.html

■しかし一方で、コンサートなどで頻繁に用いられ、オーケストラとしてコンサートでも聞く事ができるようになった利点と共に、東京芸術劇場のガルニエ・オルガンの問題発生をきっかけに、その他のホールのパイプオルガンを調査しているというのが現状です。人間のエゴでみだりにパイプオルガンを用いることを、感謝しつつも反省させられるものです。

バッハ/初期オルガン作品集「愛」

<「松居直美さんオルガンコンサートを聴いて」>

■ある教会のオルガン奉献コンサートで松居直美さんのオルガン演奏を聴くことが赦されました。信仰と讃美と力強い「魂の音楽」を聴くことができ感謝でした。

□「詩篇と賛歌と霊的な歌によって語り合い、心から主をほめ歌いなさい。」(「エフェソの信徒への手紙」5章19節)
□主をほめ歌い、感謝する、私たちが讃美することの原点に帰る事ができました。「神様に栄光を顕す」パイプオルガンの音が礼拝堂に満たされ、讃美と慰めと力を与えてくれました。

■J・Sバッハの曲で特に好きなオルガン曲があります。
「幻想曲 ト長調 BWV572」「トッカータとフーガ ニ短調 BWV538」
心の奥に染み入るやわらかいメロディラインから、お腹の底に響いてくるような力強い、しかも壮麗な曲に変化していく「幻想曲」は、本当に勇気づけられます。オルガンの音に負けない讃美を、日々神様に捧げたいと思います。

□参考:オルガニスト・松居直美 web-site
http://plaza27.mbn.or.jp/~matsui/

■参考資料:サントリーホール「パイプオルガンのしくみ」、YAMAHA「オルガンの設置事例」、パイプオルガンと音楽「オルガンとは?」、「公共ホール等におけるパイプオルガン導入について〜東京芸術劇場”欠陥オルガン”〜」他。





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