説教ノートより〜キリストに倣いて


「De imitatione Christi」



  • 「De imitatione Christi」イミタティオ・クリスティ (ラ)Imitatio Christi

  • 「キリストの模倣」「キリストに倣いて」と訳される。キリスト教信仰書として広く読まれる霊想書。トマス・ア・ケンピスの著とされる。

  • (Thomas a KEMPIS, 1379-1471)は、ドイツのケルン司教区に属する町ケンペンで生まれた神秘主義者であり、兄弟団とよばれる修道会に入り、共同生活を営んでいた。敬虔な修道士として生涯を神に捧げた人である。ラテン語の手写本は300種以上、同印刷本は、2000種以上もあり、同世紀中に、独、仏訳が出版され、19世紀には近代語訳が出た。1596年ににローマ字和訳本が出ている。『コンテンツスムンヂ』なるラテン語原文(Contemptvs Mvndi)のローマ字翻訳である。

  • 明治以降は、多くの和訳(由木訳、池谷訳、呉・永野訳)が出版され親しまれた。信徒にも分かり易い文章に加え、霊性の深さが親しまれた理由である。原典はオランダ語の4巻である。各巻別々に書かれて流布した。第1-2巻は、黙想書。第3-4巻は、主(Dominus)としもべ(Servius)または弟子 (Discipulus)との対話の形で、「全てを捨てよ、そうすれば、お前は全てを見出せる。欲情を捨てよ、そうすれば、お前は平安をも見出す。」(3:32)と教えている。

  • 「たとえ、うわべだけで聖書の全てを知り、あらゆる哲学者の説を知っても、神の愛と恵がなかったならば、その全てに何の益があろうか」(1:1)と説く。もともと修道者を対象に書かれたものである。しかし一般信徒にも愛読され、古典的名著の一つとされている。内容は「霊的生活の有益なる勧め」、「内的生活の勧め」、「内的慰安について」、「聖体に関する敬虔な勧告」の4部からなっている。霊性を深める「信仰」というより「信心」の書、というほうがよいかもしれない。歴史的にも貴重な本。






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